稲刈りの基本 — 刈り取り適期と含水率

刈り取り適期の黄金色の稲穂 稲刈り

稲刈りは「いつ刈るか」で等級と食味が変わります。含水率と黄化の見極め、コンバインの設定をまとめます。

刈り取り適期の見極め

黄化率

圃場全体を見て、穂が黄色くなっている割合を目視で判断します。

黄化率 状態 判断
70〜80% 一部にまだ緑の穂がある あと3〜5日待つ
85〜90% ほぼ黄色。わずかに緑が残る 刈り取り適期
95%以上 全面が黄金色 やや遅い。胴割れリスク上昇

含水率

籾の含水率を水分計で測ります。

含水率 判断
28%以上 まだ早い。乾燥に時間とコストがかかる
22〜25% 適期
20%以下 やや遅い。胴割れのリスク

水分計がない場合は、籾を噛んでみて 歯ごたえがあるが割れない 程度が目安です。

出穂後の日数

品種によりますが、出穂後 35〜45日 が目安です。

品種(目安) 出穂後日数
コシヒカリ 35〜40日
ヒノヒカリ 40〜45日
山田錦(酒米) 40〜45日

コンバインの設定

刈り取り高さ

地面から 10〜15cm で刈ります。

設定 メリット デメリット
低め(10cm) 稲わらを多く回収できる 石や泥を巻き込みやすい
高め(15cm) 泥の巻き込みが少ない 残稈が長く翌年の代かきに影響

圃場の状態(泥の深さ、石の有無)で判断してください。

走行速度

田面が十分に乾いていれば 中速 で走行できます。ぬかるんでいる場合は 低速 にし、急旋回を避けてください。

刈り取り方向

刈り取り方向と翌年の代かき・田植えルートは連動します。

  • 長辺方向 に刈るのが基本(旋回回数が少ない)
  • IN/OUT(コンバインの出入り口)を記録しておくと、翌年の代かきで均平を出しやすい

刈り取り後の処理

乾燥

方式 温度 時間 特徴
火力乾燥 40〜45℃ 8〜12時間 速い。高温すぎると胴割れ
自然乾燥(はざかけ) 外気温 10〜14日 食味が良い。手間がかかる

火力乾燥の場合、温度は 45℃以下 を守ってください。50℃を超えると胴割れ率が急上昇します。

目標含水率は 14.5〜15.0% です。これより低いと割れやすく、高いとカビのリスクが出ます。

籾すり

乾燥後に籾すりを行います。ロール間隔を狭くしすぎると砕米が増えるため、仕上がり米を見ながら 調整してください。

稲刈り前の準備

刈り取り当日までに済ませておくべき準備です。

準備項目 時期 内容
落水 刈取7〜10日前 完全止水。田面が歩ける硬さになるまで
コンバインの整備 刈取3〜5日前 刈刃の点検・交換、ベルトの張り、注油
乾燥機の準備 刈取前日 前年の残米除去、温度設定の確認
籾摺り機の準備 刈取前日 ロールの摩耗確認、間隔調整
出荷用袋・パレット 刈取前日 30kg紙袋・フレコン・パレットの数量確認

コンバインのメンテナンス

シーズン中のトラブルを防ぐため、刈り取り前にチェックします。

点検箇所 確認内容
刈刃 欠けや摩耗がないか。摩耗していれば交換
搬送チェーン 張りは適正か。緩んでいると穂がこぼれる
選別網 詰まりや破れがないか
各部の注油 グリスアップ箇所にグリスを充填
燃料・オイル 規定量が入っているか

刈り取り中のトラブルで最も多いのは 搬送チェーンの詰まり です。湿った稲を無理に刈ると詰まりやすくなるため、朝露が乾いてから作業を始めてください。

収穫データの記録

収穫時のデータは翌年の経営判断に直結します。以下を圃場ごとに記録してください。

記録項目 記録例
刈り取り日 9月28日
含水率 23%
黄化率 88%
出穂後日数 38日
収量(玄米) 520kg/10a
等級 1等
乾燥温度・時間 42℃ / 10時間
仕上がり含水率 14.8%

これらのデータを「稲作ナビ」に蓄積すると、年ごとの比較や圃場ごとの傾向が見えてきます。

よくある失敗

失敗 原因 対策
刈り遅れ 天候待ちで適期を逃した 黄化率85%に達したら天気予報を見て即判断
胴割れ 含水率が低い状態で刈った / 乾燥温度が高い 含水率22〜25%で刈る。乾燥は45℃以下
砕米 籾すりのロール間隔が狭い 仕上がりを見ながらロール調整
コンバインがはまる 落水が遅く田面が乾いていない 粘土質は刈取10〜14日前に落水

まとめ

  • 刈り取り適期は 黄化率85〜90% / 含水率22〜25%
  • コンバインの刈り取り高さは10〜15cm
  • 火力乾燥は 45℃以下。目標含水率は14.5〜15.0%
  • IN/OUT と刈り取り方向を記録し、翌年の代かきに活かす

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