育苗の基本 — 購入苗と自家育苗の選び方

育苗箱に並ぶ緑の苗。購入苗と自家育苗の記事 育苗

田植えの成否は苗で決まります。購入苗と自家育苗、それぞれの特徴を押さえて、自分の経営規模に合った方法を選びましょう。

購入苗と自家育苗の違い

項目 購入苗 自家育苗
コスト 高い(1箱500〜800円) 安い(種子+培土で半額程度)
手間 少ない(届いたら植えるだけ) 多い(播種→管理→育苗30日前後)
品質管理 苗屋に依存 自分で温度・水を管理できる
リスク 納期遅れ・品切れ 苗立枯病・徒長
向いている規模 1〜2ha の小規模 3ha以上で苗代のコスト差が大きくなる

小規模であれば購入苗が無難です。3ha を超えると苗代だけで10万円以上の差が出るため、自家育苗の検討価値があります。

購入苗の選び方

苗を受け取ったら、植える前に3つを確認します。

1. 葉齢

田植えに適した葉齢は 3.0〜3.5葉 です。2.5葉以下は活着に時間がかかり、4葉を超えると老化苗になります。

2. 苗の硬さ

茎を軽くつまんで しっかりと弾力がある のが良苗。ふにゃりと曲がる苗は徒長しています。

3. 根の色と張り

箱を傾けて底を見ます。白い根がマット状に広がっている のが理想。茶色い根が多い場合は根腐れの兆候です。

チェック項目 良苗 要注意
葉齢 3.0〜3.5葉 2.5以下 or 4.0以上
茎の硬さ 弾力あり ふにゃりと曲がる
根の色 白・マット状 茶色・まばら
草丈 12〜15cm 18cm以上(徒長)

自家育苗の基本手順

自家育苗は大きく4ステップに分かれます。

ステップ1:種子の準備(田植えの35〜40日前)

種子を 10〜15℃の水に5〜7日 浸種します。水温が高すぎると発芽ムラが出ます。毎日水を替えてください。

浸種後、30〜32℃で24時間 催芽します。芽が1mm程度見えたら終了。出しすぎると播種時に芽が折れます。

ステップ2:播種

培土を箱に入れ、種子を均一にまきます。播種量は 乾籾で1箱あたり120〜150g が目安。薄まきにすると1本1本が太くなります。

ステップ3:ハウス管理(25〜30日間)

時期 温度 灌水
出芽まで(3〜5日) 28〜32℃ 播種時のみ
緑化期(3〜5日) 20〜25℃ 表面が乾いたら
硬化期(20日前後) 日中15〜25℃ / 夜間10℃以上 朝1回、底面から

温度が高すぎると徒長し、低すぎると苗立枯病が出やすくなります。

ステップ4:田植え前の慣らし

田植えの3〜5日前からハウスのサイドを開け、外気に慣らします。急に寒さに当てると活着が遅れます。

育苗に必要な資材と準備

自家育苗を始める前に揃えておく資材をリストアップします。

資材 用途 調達先の目安
種子 播種用 JA・種苗店(前年12月までに予約)
育苗箱 苗を育てる容器 60穴箱が一般的。1反あたり約20箱
培土 苗の土台 市販育苗培土が安定。自家配合も可
温湯消毒器 or 薬剤 種子消毒 温湯は60℃10分。薬剤はテクリード等
催芽器 発芽を揃える なければ風呂の残り湯で代用可
育苗ハウス 温度管理 パイプハウス。換気窓が多いほど管理しやすい
灌水チューブ 底面灌水 ホームセンターで入手可能

培土の選び方

市販培土には「覆土用」と「床土用」があります。床土用を箱に入れ、播種後に覆土用を被せるのが基本です。pH は 4.5〜5.5 の弱酸性が適しています。アルカリ性の培土は苗立枯病のリスクが高くなります。

自家配合する場合は、田の土(ふるい通し)にくん炭を1割程度混ぜます。ただし田の土は雑草の種が混入するリスクがあるため、市販培土のほうが初心者には安全です。

育苗期間中に見るべき指標

毎日の観察で以下を記録しておくと、翌年の改善に活かせます。

観察項目 記録頻度 目的
ハウス内気温(最高/最低) 毎日 徒長や低温障害の原因分析
灌水量とタイミング 灌水時 過湿/乾燥の振り返り
葉齢の進み具合 3日おき 田植え時期の予測
病害の有無 毎日 苗立枯病の早期発見
苗の草丈 5日おき 徒長の定量的な把握

特に 最高気温徒長の有無 の関連は、翌年のハウス管理計画に直結します。

よくある失敗

失敗 原因 対策
徒長苗 ハウスが高温すぎる 日中25℃以下に換気
苗立枯病 培土が過湿 + 低温 底面灌水に切替、夜温10℃以上確保
発芽ムラ 浸種温度が不安定 水温10〜15℃を一定に保つ
根腐れ 灌水過多 表面が白く乾くまで待ってから灌水

まとめ

  • 小規模(1〜2ha)は購入苗が効率的。3ha以上なら自家育苗のコストメリットが出る
  • 購入苗は 葉齢3.0〜3.5葉・茎に弾力・白い根 を確認してから植える
  • 自家育苗は 温度管理 がすべて。徒長と苗立枯病を防ぐのが最重要
  • 田植え3〜5日前に外気に慣らす工程を忘れない

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