分げつの基本 — 有効分げつと水深の調整

分げつが進んだ稲株と水深 分げつ

分げつ期は茎の数が決まる時期です。多すぎても少なすぎても収量に響きます。水深と肥効のバランスで有効分げつ数をコントロールします。

分げつとは

1本の苗から新しい茎が出てくることを「分げつ」と呼びます。田植え後10日頃から始まり、中干しで止めるまで増え続けます。

有効分げつと無効分げつ

種類 内容
有効分げつ 穂を付ける茎。収量に貢献する
無効分げつ 穂を付けない茎。養分を消費するだけ

目標は 1株あたり有効分げつ20〜25本 です。これ以上増えると無効分げつが増え、通風が悪くなり病害が出やすくなります。

水深の管理

分げつ期の水深管理は 浅水が基本 です。

水深 効果
2〜3cm(浅水) 地温が上がり分げつが促進される
5〜7cm(深水) 地温が上がりにくく分げつが抑制される

浅水で分げつを促す

活着後〜分げつ中期は 2〜3cm の浅水を維持します。茎の基部に光が当たり、分げつの発生が活発になります。

深水で分げつを止める

目標の茎数に達したら、中干しに入る前に 5〜7cm の深水にして分げつの発生を抑えます。深水期間は3〜5日で十分です。

追肥のタイミング

分げつ期の追肥は「分げつ肥」と呼ばれます。

項目 内容
時期 田植え後20〜25日(分げつ盛期)
種類 窒素系肥料(硫安・尿素など)
基肥の半量程度(窒素成分で2〜3kg/10a)
判断基準 葉色が薄くなってきたら必要

葉色が濃いまま推移している場合は、追肥を見送ることも判断のひとつです。過剰な窒素は倒伏リスクを高めます。

葉色の見方

葉色板(カラースケール)を使うと判断しやすくなります。

葉色 判断
4.0以上(濃い) 追肥は不要。窒素が十分
3.5前後 圃場の状態を見て判断
3.0以下(薄い) 追肥が必要

品種別の目標茎数

品種によって最適な茎数は異なります。

品種 目標茎数(1株) 備考
コシヒカリ 20〜22本 倒伏しやすいため少なめに
ヒノヒカリ 22〜25本 茎が太く倒伏に強い
山田錦(酒米) 18〜20本 穂を大きくするため少なめ

コシヒカリは茎が細く倒伏しやすい品種です。分げつを取りすぎると茎が細くなるため、目標は 20〜22本 でやや少なめに設定し、早めに中干しへ移行するのがポイントです。

分げつ期の観察ポイント

分げつ期は水管理と追肥の他にも、日々の観察が重要です。

観察項目 確認頻度 見るべきポイント
茎数 5日おき 目標に達したか
葉色 週1回 葉色板で確認。窒素過不足の判断
雑草 随時 初期除草剤の効きが弱い場所はないか
害虫 週1回 イネミズゾウムシ(葉に白い筋)に注意
水温 朝夕 浅水で地温が十分上がっているか

分げつの増加ペースが1日あたり0.5本以下の場合、水深が深すぎる可能性があります。浅水に切り替えて地温を確保してください。

分げつ数の数え方

圃場の中央付近で 5株 を選び、各株の茎数を数えます。平均が目標本数(20〜25本)に達したら中干しの準備に入ります。

よくある失敗

失敗 原因 対策
分げつが多すぎる 浅水期間が長すぎた / 追肥過多 目標茎数に達したら深水 → 中干し
分げつが少ない 深水で管理していた / 活着が遅い 浅水(2〜3cm)に切替。地温を上げる
倒伏 窒素過多で茎が軟弱 追肥量を抑える。葉色板で判断

中干しへの移行判断

分げつ期の終わりは中干しの始まりです。移行のタイミングを誤ると収量に響きます。

判断項目 基準
茎数 目標の80〜90%に達したら準備開始
天気予報 3日以上の晴天が続く期間を選ぶ
圃場の水位 入水を止め、自然落水で移行する

茎数が目標に達してから中干しを開始するまでにも分げつは増え続けます。目標の 80% に達した時点で深水に切り替え、その後3〜5日で中干しに入るのが経験則です。

まとめ

  • 分げつ期は浅水(2〜3cm)が基本。地温を上げて分げつを促す
  • 1株あたり有効分げつ20〜25本が目標
  • 目標に達したら深水 → 中干しへ移行
  • 追肥は葉色板で判断。濃いなら見送る

コメント

タイトルとURLをコピーしました