登熟の基本 — 落水タイミングと胴割れ防止

実が入り黄金色に近づく登熟の稲穂 登熟

登熟期は実が入る最終段階です。落水のタイミングを間違えると胴割れや品質低下につながります。稲刈り予定日から逆算して管理します。

登熟とは

出穂・開花後に籾の中にデンプンが蓄積されていく過程です。期間は出穂後 30〜45日 。この間に米粒の大きさ・重さ・食味が決まります。

登熟期の水管理

時期 出穂後 水管理 目的
登熟前半 0〜20日 間断灌漑(入水→自然落水→入水) 根に酸素を送りつつ水を確保
登熟後半 20〜35日 間断灌漑(間隔を広げていく) 徐々に田面を乾かす
落水 刈り取り7〜10日前 完全に水を止める コンバインが入れる硬さにする

間断灌漑のやり方

  1. 水を 3cm 入れる
  2. 自然に水が引いて 田面が見える まで待つ
  3. 田面が見えたら再び水を入れる

この繰り返しです。登熟後半は間隔を広げ、落水に向けて徐々に田面を固くしていきます。

落水のタイミング

目安 内容
基本 稲刈り予定日の 7〜10日前
砂質土壌(乾きやすい) 5〜7日前
粘土質(乾きにくい) 10〜14日前

早すぎる落水のリスク

稲刈りの15日以上前に落水すると、実入りが途中で止まり 青米胴割れ が増えます。

遅すぎる落水のリスク

稲刈りの3〜4日前まで水が残っていると、コンバインが田に入れません。機械がぬかるみにはまって作業効率が大幅に落ちます。

胴割れの防止

胴割れとは、米粒に細かいヒビが入る現象です。炊飯時に崩れやすく、等級が下がります。

原因 対策
登熟期の急な乾燥 間断灌漑で急激な土壌乾燥を避ける
落水が早すぎる 刈り取り7〜10日前を守る
高温登熟 可能なら早植えで高温ピークを避ける
刈り遅れ 適期に刈り取る(次の稲刈り記事参照)

登熟の進み具合を確認する方法

籾の色

状態
緑色 まだ登熟中
黄緑色 登熟が進んでいる
黄色 ほぼ登熟完了
黄金色 刈り取り適期

圃場全体の 85〜90% が黄色になったら刈り取り適期が近いサインです。

籾を割って確認

籾を爪で割り、中の米粒を見ます。白く不透明 でしっかり硬ければ登熟完了です。透明感がある(水っぽい)場合はまだ早いです。

登熟期の温度と品質

登熟期の気温は米の品質に直結します。

平均気温 品質への影響
20〜22℃ 最適。デンプン蓄積が充実し食味が良い
23〜25℃ やや高いが許容範囲
26℃以上 白未熟粒が増加。1等米比率が下がる

高温登熟への対策は以下が有効です。

  • 田植え時期の前倒し — 出穂・登熟期を暑さのピーク(8月上旬)からずらす
  • 深水管理 — 水温を下げ、根の活力を維持する
  • 夜間のかけ流し — 用水の温度が低い地域では夜間に入水して田面水温を下げる

ただし田植え時期の変更は育苗や労働配分にも影響するため、翌年の計画として検討してください。

落水判断のチェックリスト

落水前に以下を確認します。

チェック項目 基準
刈り取り予定日 天気予報と合わせて確定
籾の黄化率 70%以上になっているか
含水率 28%前後か(高すぎると落水はまだ早い)
圃場の土質 砂質は短め(5〜7日前)、粘土は長め(10〜14日前)
コンバインの進入路 最も乾きにくい場所はどこか

落水後は 再入水しない のが原則です。一度乾かし始めた田面に水を入れると、土がぬかるんでコンバインが入りにくくなります。

よくある失敗

失敗 原因 対策
胴割れ 落水が早すぎる / 急な乾燥 間断灌漑を続け、落水は刈取7〜10日前
青米が多い 落水後に実入りが止まった 落水タイミングを遅らせる
コンバインが入れない 落水が遅すぎる 粘土質は10〜14日前から落水
食味が低い 高温で登熟。白未熟粒が増えた 翌年は田植え時期で出穂期をずらす

まとめ

  • 登熟期は間断灌漑が基本。根に酸素を送りつつ水を確保
  • 落水は稲刈り 7〜10日前 が目安。土質で前後する
  • 胴割れ防止は「急な乾燥を避ける」に尽きる
  • 籾の色と硬さで登熟の進み具合を確認

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