穂揃い期の基本 — 出穂前後の水管理と防除

穂が出始めた穂揃い期の稲 穂揃い

出穂期は米の品質を左右する重要なタイミングです。水を切らさないことと、病害防除のタイミングを押さえましょう。

穂揃いとは

圃場全体の穂が 80〜90% 出そろった状態を「穂揃い」と呼びます。出穂開始から穂揃いまで通常3〜5日です。

用語 定義
出穂(しゅっすい) 穂が葉鞘から顔を出す
穂揃い 圃場全体の80〜90%が出穂
開花 出穂の翌日〜3日後。午前中に咲く

出穂期の水管理

出穂前後は 絶対に水を切らない のが鉄則です。

時期 水深 理由
出穂7日前〜出穂 3〜5cm 穂の成熟に水が必要
出穂〜開花 3〜5cm維持 高温で花粉が死ぬのを防ぐ
開花後〜登熟初期 2〜4cm(間断灌漑可) 根の活力を保ちつつ水を確保

高温障害への対策

出穂期に最高気温 35℃以上 の日が続くと、白未熟粒が増えます。

対策は以下の通りです。

  • 水深を 5cm以上 に上げて田面水温を下げる
  • 可能なら 夜間のかけ流し で水温を下げる
  • 出穂が猛暑のピークと重ならないよう、品種や田植え時期で調整(翌年の課題として記録)

病害防除

出穂期に注意すべき病害は いもち病紋枯病 です。

いもち病

項目 内容
発生条件 低温・多湿・曇天が続く
症状 穂首や枝梗が褐変。白穂になる
防除タイミング 出穂直前〜穂揃い期
薬剤 予防剤(穂いもち専用剤)を穂揃い期に散布

紋枯病

項目 内容
発生条件 高温・多湿・密植
症状 茎の基部に紋様のある褐色病斑
防除タイミング 出穂20日前
対策 密植を避ける。中干しで茎基部を乾かす

防除のスケジュールは品種と地域で異なるため、JA や普及センターの防除暦と合わせてください。

出穂期の観察と記録

出穂期に記録しておくべき項目をまとめます。

観察項目 確認頻度 記録の活用
出穂日(穂が最初に見えた日) 1回 翌年の出穂予測。刈取適期の起算日
穂揃い日 1回 防除タイミングの確認
開花時刻の確認 出穂翌日 受粉が正常か確認(午前に開花が正常)
水深 毎日 水切れの有無
最高気温 毎日 高温障害リスクの判断
防除実施日と薬剤名 散布時 翌年の防除計画
白穂の有無 穂揃い後1週 いもち病の発生確認

出穂予測の方法

出穂日の予測は前年の記録が最も信頼できます。三木市のコシヒカリであれば、田植えから 70〜80日 が目安です。

ただし年ごとの気温で1週間程度前後します。幼穂の形成(止葉の葉鞘が膨らむ)を確認すると、出穂の 10〜14日前 であることがわかります。

カメムシ対策

出穂期に斑点米の原因となるカメムシが飛来します。

対策 内容
畦畔の草刈り 出穂2週間前までに。カメムシの生息場所を減らす
防除 穂揃い期に殺虫剤を散布
注意点 草刈りが遅いと逆にカメムシを田んぼに追い込む

畦畔の草刈りは出穂 2週間前までに終わらせる のがポイントです。出穂後に草を刈ると、草にいたカメムシが一斉に稲の穂に移動します。

よくある失敗

失敗 原因 対策
白未熟粒 出穂期の高温 深水・かけ流しで水温を下げる
穂いもち 防除のタイミングが遅い 出穂直前〜穂揃い期に散布
穂が揃わない 圃場内の生育差(均平不良) 代かきの均平を見直す
水切れ 出穂期に落水してしまった 出穂前後は水深を毎日確認

穂肥のタイミング

穂肥(ほごえ)は出穂前に施す追肥で、穂の充実と粒数の確保を目的とします。

項目 内容
時期 出穂18〜25日前(幼穂形成期)
種類 窒素・カリ系肥料
窒素成分で2〜3kg/10a
判断基準 葉色板で3.5以下なら施用、4.0以上なら見送り

穂肥は早すぎると茎が伸びて倒伏リスクが上がり、遅すぎると穂に効かず玄米のタンパク含有率が上がって食味が落ちます。幼穂の長さを確認してタイミングを決めてください。

まとめ

  • 出穂前後は 水を切らない。水深3〜5cmを維持
  • 高温日(35℃以上)は深水またはかけ流しで水温を下げる
  • いもち病防除は 出穂直前〜穂揃い期 が勝負
  • 防除暦はJAの情報と合わせて圃場の記録に残す

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